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はっ!
あることに気がついて、急いで三笠君から体を離す。
「ごめんなさい…。あんまり、嬉しくって…。三笠君。彼女さんが居るのに、こんなこと
して迷惑だったですよね」
と慌てて言い繕う。
「迷惑なんかじゃないさ。それに、僕に彼女なんかいないよ」
「えっ? でも、アーちゃんは、三笠君が女の子と手を繋いでいるのを見たって…」
「それ、妹だよ。一昨日は買い物につきあわされてたんだ」
「えっ! そうなの?!」
「丁度、そこに牟田口さんが来たんだ。あの人、噂好きだろ。それで、身を隠す素振りを
したら、それに気づいた妹が急に僕の手をとって、無理やり恋人繋ぎを始めたんだ。僕の
妹は、すっごく悪戯好きなんだよ」
「…そうなんですか…」
「それを、牟田口さんに見咎められた。そして、昨日の朝、君が牟田口さん達に絡まれて
から様子が変わった。きっと妙な噂を吹き込まれたに違いないと思って、弁明する機会を
伺ってたんだ」
そうか、三笠君が私の後をついて来たのは、そういう理由だったんだ。
あれっ、でも待って。それって、三笠君が私の事を気にしてくれてるって事?
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