第十章 願い

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「濱野さん。落ち着いて。前に、翠ちゃんが猫になった時の話を聞かせて貰ったけれど、 一旦は翠ちゃんの事を忘れて、最後には思い出したんだよね。それはどうして?」 「…それは…。多分、翡翠のせい」 「カワセミ?」 「そう。私、子供の時にみた翡翠の羽の色に魅せられて…。翡翠は私のマスコットキャラ なの。その羽の翠色から、翠の事を連想して、思い出したの」 「なるほど、強く心に残っている記憶から、連想できれば良いんだね」 「多分…。でも、三笠君との事を連想できるようなものは、まだ…無い」 「無いなら、作ればいい」  三笠君が、何かを決心したように力強い言葉を発する。  同時に三笠君の両腕が私の肩に伸びる。  エッ、エッ、エッ。  三笠君の顔が近づいて来て、唇を何かで塞がれた。
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