第十章 願い

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 息を飲み込む。  突然の事に驚いて、声が出ない。  私、いまキスしてるんだ。三笠君と。  心臓が喉から飛び出るほどの高速回転になる。  顔がヤケドしそうなほどに熱くなる。  その熱が、首筋から肩、胸へと広がっていく。  驚きと緊張で息苦しくなってきた。  え、えーと。どうやって呼吸をしたら良いんだろう。妙に冷静にそんな事を考える。  三笠君の熱い鼻息が私の頬にかかる。  そうか、鼻で息をすれば良いんだ。  詰まっていた呼吸を鼻から吐き出す。  思いの外、強い鼻息になった。ウワー、三笠君に幻滅されたりしないかな。  三笠君の表情を確かめようと、視線を動かすと、三笠君は目を閉じていた。  そうか、キスの最中は目を閉じてるもんなんだ。  慌てて目を閉じる。
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