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『ごめんなさい。私が居るせいで、お姉ちゃんがいつも悪者にされていた。その事に気が
つかずにいて、ごめんなさい。私は家を出ます。今迄、ありがとうございました。』
翠の字だ。
慌てて自室を飛び出し、翠の部屋のドアを開ける。
誰も居ない。
ベッドは綺麗に整えられ、机の上もいつになくきちんと整頓されている。
―本当に家出した?―
心臓を鷲掴みされたように、体が震えあがる。
翠の部屋に入って、様子を確かめる。
外出時に持ち歩くリュックが無い。
お気に入りのコミックが本棚から抜かれている。
パジャマも、翠の大好きなアニメキャラの縫いぐるみも消えている。
私の脳裏に、大切な持ち物を泣きながらリュックに詰め込む翠の姿が浮かぶ。
「ほんとに…家出したんだ」
転げるように一階に下りる。
玄関の様子を確かめる。
翠が一番気に入っているバスケシューズが無い。
いよいよ本当に家出だ。
ダイニングキッチンに駆け込む。
ちょうど、お母さんが朝食の準備中だった。
「おはよう。どうしたの? 朝から、慌て…」
その言葉の終わる前に、ひしと母の腕に縋り付く。
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