第十一章 サイカイ

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 通りから公園に入る。  そこで息が停まった。  中学生くらいの女の子が、公園の奥のベンチでうなだれている。  隣には高校生位の男性がいて、その女の子に向かって何事か話しかけている。 「翠!」  と叫ぶ。  その声に反応して二人が顔を上げる。  それは、まさに翠だった。  しかも、隣の男性は三笠くん。  一挙に緊張の糸が解ける。  目から涙が溢れ出る。  足の力が抜ける。  翠に向かって二、三歩すすんだところで、私は掌で顔を覆って泣き出した。 「お姉ちゃん!」  翠が駆け寄って来た。 「大丈夫? お姉ちゃん。足、怪我してるよ」  その問いには答えず、翠を力いっぱい抱きしめる。 「翠、翠。ごめんね。みんな、お姉ちゃんが悪かった。だから、何処にもいかないで」 「お姉ちゃん…」  私は翠をもう二度と離すまいと、腕に力を込める。  翠も私を抱き返す。  翠と私は、溶け合っって一つの物になってしまう程に、強く強く抱きあった。
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