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タタタタタタ。
そうこうするうちに、公園の入り口から両親が駆け込んできた。
翠の顔に緊張の色が表れる。翠が体を固くしているのが分かる。
「翠、翠…」
お母さんがオロオロしながら駆け寄ってくる。
「お母さん…」
翠がベンチから立ち上がる。
それと同時に、お母さんが翠を抱きすくめる。
「翠…。良かった…。無事で…」
続いて、お父さんもやって来て、ひしと抱き合う翠とお母さんを見つめている。
お母さんと翠は暫くの間、一塊になっていたが、やがてゆっくりと体を離す。
「翠。聞かせてちょうだい。なんで家出なんかしたの、みんなを散々心配させて」
いけない。お母さん、翠が見つかったんで、お怒りモードのスイッチが入ったらしい。
私は、慌てて二人の間に割って入る。
「お母さん! 翠は悪くないの。私が翠に酷い事を言ったの。翠はそれがショックで家を
出た、だから悪いのは私。翠を叱るなら、私を叱って下さい」
すると、直ぐさま翠が私とお母さんの間に割って入る。
「お姉ちゃんは悪くない。お姉ちゃんを傷つける事を言った私が悪いの。そのうえ、家出
までして。悪いのは私。だから私を叱って」
「ううん。翠は悪くない。みんな、わたしのせい」
「ううん。お姉ちゃんは悪くない。私が悪いの」
私と翠のやり取りを見ていたお母さんが、溜息を漏らす。
「あなたたち。そんなに仲がいいんなら、もう喧嘩はしない。翠も家出なんかしないの」
母娘三人がにらめっこのように顔を付き合わせる。
その様子が自分達で可笑しくなって、笑いが込み上げて来た。
「とにかく、お家に帰りましょう。皆、朝ごはんがまだだから」
という話しに決まった。
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