第二章 ハジマリ

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「大丈夫。怪我はなかった? 濱野さん」  不意に声をかけられ、慌てて振り向く。  そこに、自転車に乗った心配顔の三笠くんが立っていた。  えっ、ええーっ。何でここに三笠君が??  今の、見られたの? 「立てる?」  三笠くんが手を差し出す。  私はおっかなびっくり、その手を握る。  三笠くんの手の暖かさと、湿り気を感じる。  途端に顔がリンゴ色になる。顔が熱い。頭から湯気が出てるんじゃないか。  三笠くんの手を頼りに立ち上がる。  でも、とても顔を合わせられない。 「だ、大丈夫です」  と震えた声で答える。 「じゃ、じゃあ」  と、その場から逃げるように、走り出した。 「あ、ちょっと。濱野さん。濱野さん」  三笠君の呼び止める声を、聞こえないふりをして走り続ける。
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