第二章 ハジマリ

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 なんていう失態。  信号無視して、交通事故に遭いそうな場面を、三笠くん見咎められるなんて。  あっ!  私、三笠くんに起こして貰ったのに、お礼を言ってなかった。  なんてこと…。最低だ私…。  目に涙があふれてくる。  もう、三笠くんへの告白なんて、もっての外だ。  三笠くんを好きでいることが、罪であるようにさえ思えてしまう。  家に帰りつく。  私は、タダイマの挨拶もそこそこに、二階の自室に逃げ込んだ。  なんてことをしたんだろう。私。  失態を見られた上に、親切のお礼も言わずに逃げてきた。  悲しいというより、悔しい。  せめて一言「ありがとう」と言えば良かった。  馬鹿だ、馬鹿だ、私は。ほんと最低。  自己嫌悪に陥る。私は自分が嫌い。  大事なときに、するべき行動の出来なかった私。  自己嫌悪。自己嫌悪。自分の全身が自己嫌悪で出来ているくらいに自己嫌悪。  悔しい。ほんと、自分が悔しい。  私は、机に突っ伏して、涙にならない後悔の涙を流し続けた。  いつまでも、いつまでも。
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