25人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
はぁ。
長女は辛い。
嫌な事があっても、下の子の前では平気な顔をしてなくちゃいけない。
泣きたい事があっても、我慢しなくちゃいけない。
下の子は良いよな。暢気でいられて。
「美寿穂。翠。オヤツよー」
階下から、お母さんの呼ぶ声。
お母さん、きっと翠が帰ってくるの待ってたんだろう。
「ハーイ」
隣の部屋から、元気な返事とともに翠が飛び出していくのが分かる。
はぁっ。
私は返事替りに、溜め息を吐き出した。
なんか、家族と顔を合わせたくない。
造り笑顔を作らなくちゃならないと思うと辛い。
机に突っ伏したまま、時間が過ぎてゆく。
「美寿穂。何してんの! 早く、おりてらっしゃい。翠はオヤツ食べちゃったよ」
もう、やだなぁ。怒られるのは、いっつも私ばっかりだ。
翠は、要領いいもんなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!