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浮かない気分で階段を降り、逃げ出したい気分でダイニングのドアを開ける。
せっかく笑い顔の仮面を用意したのに、中には誰もいなかった。
翠は、入れ代わりに二階に戻ったのだろう。
母はというと…。
キッチンの地下収納に収めてある自家製果実酒の瓶を、出し入れしている。
「手が離せないから、冷蔵庫にあるシュークリーム、食べといて」
―えぇ!? オヤツって、シュークリームだったの。なんて間が悪い―
と心のなかで呟く。
私、シュークリームなら、昨日自分で買ってきてあるんだよね。
それも個数限定のシューアイス。
昨日の下校時に、わざわざ自宅と反対方向にある洋菓子屋まで足を運んで買ってきた。
しかも、アイスが融けないように、家まで走って帰ってきたんだ。
二個入りなので、昨日はバニラ味を食べ、好物のイチゴ味は今日に残しておいた。
お母さんには悪いけど、そんじょそこらのシュークリームとは比べられません。
私は、自分のシューアイスを食べるために、冷凍室のトレイを引き出した。
「あれ?」
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