第三章 姉妹

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 翠は悪くない。  私が誰かを悪者にしたてて、自分の鬱憤をぶつけたかっただけなんだ。  そう分かっていながら、素直になれない自分が居た。  妹の翠ばかりが保護され甘やかされ、姉の私が蔑ろにされている。  そんな思いが、私を依怙地にさせた。  その夜、翠が私の部屋を訪ねてきて、泣きはらした顔で 「お姉ちゃん、本当に私が居ないほうが良いの?」  と聞いた。  私は、翠の目を見ずに 「もう、お姉ちゃんなんて呼ばないで。あんたはもう妹じゃない。早く居なくなって」  と突き放した。  翠は涙声で 「わかった…。明日…、出ていく」  そう言って、私の部屋を後にした。
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