第四章 オンガエシ

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 真夜中の零時を過ぎ、午前一時を迎え、午前二時が私を追い越した。  けれど、私は寝ることはできなかった。  ベッドに横たわったまま暗闇の天井を見つめる。  私は未だに後悔の浜辺を彷徨っている。  翠との諍いに対する自責の念が、波となって私の足を打つ。  悔恨の引き波が、足の下の砂を削り去っていく。  私の足元は次第に不安定になり、後悔の砂に首まで埋まっていく。  翠の部屋の様子が気になって、いつまでたっても眠れない。  重苦しくい冷たい時間が、私を置き去りに通り過ぎていく。  *****  いつの間に、眠ってしまったのだろうか。  何かに顔を触られて目が覚めた。  ムニムニムニ。  柔らな何かで、頬を突かれる。 「止めてよ。翠」  覚めかけの意識の中で、寝言のように口を動かす。  ムニムニムニ。  再び頬を小突かれる。  なんだろ。何で触られてるんだ?  小指? それとも、ヌイグルミの手? 軟らかくフサフサした触感だ。 「止めてったら、翠…。みどり…。…みど」  ハッとして、私はベッドから飛び起きた。
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