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***(新しい仲間)***
「…………!!」
その時、寝ぼけ眼で夢から逃れるように開いたおれの目に最初に飛び込んできたのは、あとほんの数センチというところに差し迫った健先輩の顔だった。
「……ほぁ!?」
あまりの驚きの為、おれは叫び声とも呼べない奇妙な発声をしながら腹筋の要領で身体を起こす。
と、当たり前の話だが、おれの眼前にいた健先輩とモロに額同士でぶつかり合った。
「痛ってえ……」
そしてどちらともなくうめき声が漏れる。
見ると、健先輩が半分涙目になっておれのほうを恨めしそうに振り返っていた。
「爽平! てめえ、どんだけ石頭なんだよ」
「あんたにだけは言われたくねえよ。ってか何しくさってんですか」
「何って、そろそろ起こそうと思って覗き込んだところでお前が目を開けたんだろうが。ったくタイミングの悪い奴だ……」
ブツブツ文句を垂れながら、先輩はさっさと自分の布団を畳んで隅に押しやっている。
「起こ……って、え!? もうそんな時間ですか?」
慌てて枕元の時計を手に取ると、時計の針はちょうど九〇度。三時の場所を指していた。
言っておくが午後ではない。
午前の三時だ。
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