藤崎親子。

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睦月君から絵本を読んでほしいと おねだりをされて嬉しくなる。 これは、仲良く慣れるチャンスだ。 「いいわよ~じゃあ、読もうか」 絵本を受け取るとソファーの方に行く。 ソファーに座ると睦月君は、私のお膝に座ってきた。 ストーリーは『桃太郎』だった。 懐かしいわね……。 「むかしむかし。 あるところに、おばあさんとおじいさんが居ました。 おじいさんは…」 昔読んでもらっていた絵本を懐かしそうに読んだ。 睦月君は、一生懸命その話を聞いてくれた。 「となりましたとさ。めでたし、めでたし」 全部読み終わると睦月君は、 パチパチと拍手をしてくれた。 どうやら気に入ってくれたようだ。 そうすると先生がコーヒーを淹れて持ってきてくれた。 「あ、すみません。コーヒーまで…」 まさか、夕食を招待されただけではなく 淹れて貰えるなんて 「気にするな。 睦月に絵本を読んでくれた礼だ」
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