終わりの時

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急用とは、他の女と会うことだったのか?今日までの日々はなんだったのか?明日は素知らぬフリで私と会うのか? そんなことを思っていると、彼が私に気付いた。 とても驚いて慌てている。急に動かした腕を見れば、体の後ろに隠され隣の女の子の手も彼の後ろ。手を繋いでいたようだ。 私は目の前の事が信じられなくて、一瞬足元に目を落とし、また顔を上げた。 ぎこちない笑顔でこちらを見ている彼と、満面の笑みで私を見る女の子。その手には、若い女性向けのブランドの紙袋。あぁ、その女の子とデートだったのか……。 こんな時なのに、数日前に交わした会話を思い出す。 『私のどこが好き?』 『うーん……一見おとなしそうだけど、凛としていて芯もある。そして譲れない部分はちゃんと意見を言って、何気に行動力もある……とこかな?』
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