0人が本棚に入れています
本棚に追加
すぐ横で、リアの泣く声が聞こえる。
強い日差しを受けて、リアの飴色の髪飾りが光った。
私は、自分では諦めているつもりだった。でも、どこかで、私は生きたいと泣いていた。諦める事は、決して安易では無い事。それを、この運命というものは無理矢理教えてきた。わざわざ近づいてきて、私の耳元で、こうささやく。
「嘘ばっかり。本当は生きたいんだろ?死にたくないんだろ?ま、君はどうせ死ぬから、そんな事願っても意味無いんだけどね~。」
…人は、どうしても、生きたいと思ってしまうんだって。
「本当に」
リアは、潤った緑色の瞳をこちらに向けた。
「本当に、あと三ヶ月だけなの?」
その言葉に、息が詰まった。泣くのは堪えた。私は、必死に口角を上げた。
「…そうだよ。」
少しだけ躊躇いがちに言ってしまった言葉は、彼女の顔をもっと濡らしてしまう。
自分でも言うのが辛かった。
急に何かが込み上げてきて、慌てて咳き込んだ。ぼたっと言う鈍い音と共に、赤い液体が地面を染め上げた。リアは目を見開いている。
これが証拠だよ。
とでも言う様に、笑ってみせた。力が入らなかったから顔が歪んだだけに見えたかもしれない。リアは急いで私の手を引っ張った。
その手は、しょっぱく濡れていた。
最初のコメントを投稿しよう!