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第1章
私は泣きながら本のページをめくった。
全ての文に目を通し、一つ一つの単語を確かめた。
無い。
どうして。どうして。
必死でページをめくり続ける私の肩に、優しく手が乗った。
「無いんだよ。どんなに探したって、無いの。」
諦めたように笑う彼女の青い瞳に、若干の涙が眩く光った。私は、諦めたくなかった。立ち上がって、彼女の肩を揺する。
「諦めないでよ。絶対、どこかに、方法は、あるんだから…。」
「…いいの。リアのお父さんが、見つけられない筈ないんだから。」
私は何も言えなくなった。
…お父さんが…そっか…。
…どうして、私の方が泣いて居るんでしょうね。
彼女は、私に手を差し伸べた。
「帰ろう。」
私は涙を撒き散らす様に首を横に振った。
それでも、お父さんを信じない事は出来なくて。
静かに笑う彼女の瞳の奥に、泣き叫ぶ彼女の姿が見える。
私とは比べ物にならない程、泉が出来そうな程、涙を流す彼女が、はっきりと。
…私の方が泣いてるなんて事。
やっぱり、無いのね。
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