裏町事件簿

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私は今、懸命に眠気と戦っている。 只今狭間警察署の新人警察官の入署式及び配属任命式の真っ最中である。 かれこれ署長の話で30分は経過しているだろう。 ぶっちゃけ私にはどうでも良い話である。 私は正義感や使命感が有り警察官になった訳ではない。 私の実家は狭間市にあるそこそこ大きい神社で、神主をしている兄、兄嫁、父方の祖母、私の4人で住んでいる。 両親は私が産まれて間もない時に事故で無くなっている。 高校卒業して実家で巫女をやろうかと思った時も有ったが、正直将来的に不安が残る。 「何故?」って? ぶっちゃけ今の時代は、神職一本で食べて行くのは難しい。 七五三や地鎮祭等を行う人が減り、普段から参拝する人が少なくなってきているのだ。 初詣にはそこそこ人が集まるが、所詮地方都市の神社、たかが知れている。 だから高校卒業して不況は関係無い、生涯安定の公務員を目指したのである。 片っ端から公務員試験を受けてたまたま受かったのが警察官である。 警察官になりたくてなった同期の人達と、たまたま合格しただけの私。 やる気が違うのですよ。 周りの同期は正義感や使命感に満ち溢れた、キラキラした眼をしている。 どうでも良い署長の長話を真剣に聞きいっている位だから… それに比べて私はさぞ濁った眼をしているだろう… きっと、死んだ魚の様な眼をしているに違いない…
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