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私達は本堂の縁側に案内され、暖かいお茶とお茶菓子を頂いた。
「神主様は、家の両親をご存知なのですね。私には両親の記憶が無くて……。どんな人でしたか?」
っと、私は神主様に聞くとおもむろに空を見上げ、遠い目をしながら答えてくれた。
「桜さんのご両親はそれこそご立派な人達でしたよ。弱き者には手を差し伸べ、悪き者には容赦のない鉄槌を加えておった。今風に言えば、ヒーローと言うやつですかな。ホホホ。」
にこやかに神主様は答えてくれた。
しかし一瞬表情を曇らせ
「それがあんなことに…。人には無理じゃと言ったのじゃが…」
ここまで言うと、神主様はハッっとした表情をし、今の話を誤魔化す様に、お茶のおかわりを進めて来た
私はその言葉に引っ掛かりを覚え、追及をしようとすると、横に居た小鉄がおもむろに立ち上がり、スタスタと歩いて行った。
それを好機と見た神主様は
「小鉄殿。お帰りかな?桜さんもお帰りにならねばなりませんな」
っと、明らかに助かったっと安堵の表情を浮かべる神主様。
何か両親の死に有るんだ。
そう確信した私は
「神主様。又お邪魔しますね。次はちゃんと聞かせて下さいね」
っと、強い目で神主様の目を見ながら言うと
「お気をつけて。ホホホ」
っと、神主様は本堂へ消えて行った。
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