15 愛した証拠

5/10
前へ
/132ページ
次へ
 ――そこで、今回の犯行の計画を思いついた。  自分を散々蔑んだミナリアを殺し、自分を裏切ったディーンを殺して、さらにその罪を、自分から全てを奪った人魚にかぶせる、そんな計画を。  翌朝、彼女は計画を実行に移した。  ディーンの言葉から人魚が明朝にやってくることはわかっていたので、まずはそれを小部屋の近くで待った。  本当は人魚自身に、『侯爵には私からあなたの来報を伝えるから大部屋で待っていて欲しい』とかなんとか伝えるつもりだったのだが、彼女は下半身が魚であり、兵士がそれを運んできて、好都合にも大部屋へと運んで行った。  そして、帰り際の兵士に、侯爵には自分が伝えておくと言ってその役割を請負(うけお)い、兵士を地上へ帰す。  当然、ディーンには人魚の来訪は伝えず、そのまま人魚にそこで待ち続けてもらうことに成功した。  そして、時間を見計らって、まずはミナリアを殺した。  相手は生粋のお嬢様で、こちらはここ畑作業をこなすことすらあった没落貴族の令嬢だ。  多少暴れられたが、寝ている彼女を襲い、巻いたシーツで絞殺するのは想像よりも容易かった。     
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加