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「何を……」
メリッサが何かを言おうとしたとき、その目の前に、マリーが歩いていった。
そして、彼女に、一つの小さな箱を差し出した。
「これは、ディーン侯爵が私に依頼して作らせた、指輪。――あなたに渡すはずだった指輪です」
「え……?」
メリッサは、呆気にとられていた。
そして、放心状態のままその箱を受け取り、開けると、そこにあったのは、みたこともないような美しさを持つ、真珠の指輪だった。
「永遠の愛を約束するという、〈人魚の指輪〉……」
イマジカの呟きに、マリーが答える。
「そうです。ディーン様は私に、この指輪を作って欲しいと依頼され、昨日はその最後の相談のためにいらしたのです」
「うそ……うそよ……だって昨日は、本当に、この中の誰とも結ばれることはないって…………」
そこで、公爵が口を開いた。
「あれがどうして、わざわざ四人もの貴族令嬢を花嫁候補として呼び寄せたと思っているのだ……」
「えっ……」
「もし、あれが何の脈絡もなくお主を娶ったとする。それは、不可能ではないだろう。……しかしそんなことをして、他の貴族たちがいい顔をすると思うか?
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