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16 人魚の歌声
「――以上が、公爵領で発生した事件と、その顛末です。……帰還が遅れてしまい、申し訳ありません」
俺たちが公爵領で遭遇し、解決した事件のことを、イマジカが王女に淡々と説明し終える。
「ふうん、なるほどね……帰りが遅くなった理由はわかったわ。それは気にしないで」
ティーカップを置く音と王女の声が、王女の部屋に静かに響く。
俺は、窓枠に背中を預けながら、天井を仰いだ。
「なんつーか、救いの無い事件だったよな……」
しかしイマジカからは、「そうですね……」とすげない返事があるだけ。
(……なんか、変なんだよなぁ……)
――事件が解決したその日、俺たちはそのまま王女の待つ王都へと向かって公爵領を発った。
その出発間際、人魚であるマリーがイマジカの元にきて、「もしかして、あれを回収したのって……」とわけのわからないことを言って、イマジカは「マリーさん。あなたにはきっと、そんなつもりはなかった。だったら、そのことは、心にしまっておいてください。……私たちのためにも」とかなんとか、もっとわけの分からないことを言っていた。
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