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イマジカは、「メリッサさんが連れていかれた後すぐに、大広間へ行って。……マリーさんが座っていたと言う椅子の裏に、隠されていました」と答えた。
「まじか……」
残る一枚の盗人の手鏡は、マリーが持っていた――。
確かにそれがあれば、侯爵の部屋でのやりとりを知ることができただろう。
公爵は目が見えないから、恐らくは音だけたっただろうが。……でも、
「何のために……」
彼女がそんなことをして、何か利があるのだろうか? 別に、侯爵に恨みがあると言うわけでもない気がするし……。
「まあ、ここからは全くの推測だけど……、侯爵憎しじゃなくて、どちらかというと、逆かしらね」
「私も、そう思います」
「……どういうことだ?」
イマジカは、窓から遠くを見やって言った。
「――マリーさんもまた、侯爵に惹かれていたのでしょう」
(……ええっ!?)
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