16 人魚の歌声

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 イマジカは、「メリッサさんが連れていかれた後すぐに、大広間へ行って。……マリーさんが座っていたと言う椅子の裏に、隠されていました」と答えた。 「まじか……」  残る一枚の盗人の手鏡は、マリーが持っていた――。  確かにそれがあれば、侯爵の部屋でのやりとりを知ることができただろう。  公爵は目が見えないから、恐らくは音だけたっただろうが。……でも、 「何のために……」  彼女がそんなことをして、何か利があるのだろうか? 別に、侯爵に恨みがあると言うわけでもない気がするし……。 「まあ、ここからは全くの推測だけど……、侯爵憎しじゃなくて、どちらかというと、逆かしらね」 「私も、そう思います」 「……どういうことだ?」  イマジカは、窓から遠くを見やって言った。 「――マリーさんもまた、侯爵に惹かれていたのでしょう」 (……ええっ!?)     
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