4 火葬の理由

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「なっ……!? 私よりもちょっと速いからって調子に乗って……!」 「事実だからしょうがないだろ!」  む、むきーーーっ! とかなんとかやってる間に、目的の館の門が見えてきた。 「夜の稽古で、ぜったいギャフンと言わせてあげますから……!」 「はっ、できるもんなら」  自分のせいで遅れているのにこの不遜(ふそん)な態度、そしてこの余裕……! (ぜ、絶対に後悔させてやる……!)  と心中で息巻いて、せめてもう一言何か言ってやろうと口を開きかけたとき、 「おっと……」  私たちが門を走り抜けるのとほぼ同時に、横合いから一人の女性が走ってきて、セニスにぶつかりかけた。  セニスがなんとか止まって衝突は免れたが、女性は何も言わず、そのまま門の外に走り去って行く。   私たちは振り返って、その後姿に目を向けた。  身に着けた質のいい服からすると、この屋敷の使用人というわけではないみたいだけど……。  それ以上に気になったのは、 「……泣いてたよな?」 「ええ……」  そうだ。ぶつかりかけた際、驚きに一瞬顔を上げた彼女は、確かに泣いていた。 「なんだったんだ……」 「さあ……」  私たちが揃って首をひねっていると、その背中に声がかかる。 「お二人とも、お待ちしておりました」     
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