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そして、大穴のあちこちから、火の赤色に混じって、ほのかな青い燐光が漂い始めた。
火が柩を燃やし、人が燃え始めたのだろう。
セニスも火をくべ終えたようなので、私たちは大穴から離れる。
続いて公爵が木に火を移し、祈りの後に大穴に火を投じたあと、角盥から油を掬って大穴に撒く。
……そして司祭が、青の燐光が程よく漂い始めたのを見計らって、朗々と語り始める。
――これも、この世界の火葬においては決まって行われることだ。
「――ご覧下さい。あの光は、死んだ方たちの魔力が世界に還かえっていることを意味しています。皆さんの大切な人に宿った魔力はその身体から出て行きますが、同時にこの世界の魔力の一部となるのです。彼らは世界の一部となって、私たちのことを、いつでも見守ってくれることでしょう……」
ディーン侯爵が杖を頼りに大穴の前まで行き、家令の老紳士に火を付けさせた棒を受け取って、大穴に火を投じる。そして、老紳士が角盥から掬った油を、大穴に撒いた。
青の燐光が、更に強くなる。
――生きとし生ける者には等しく、その量に違いはあっても、少なからず魔力が宿っている。そしてその身に宿る魔力は、命が失われた時点ではなくなりはしない。
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