5 月夜の特訓

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「なんだそれ。あまりに違う世界のこと過ぎて、嫉妬でもしてるのか?」 「なっ、ちがっ……! そもそも、あの共同生活には、そういった浮かれた意味はないはずで…………はぁ……。まあ、私が穿(うが)ちすぎなのかもしれませんが」 「ん……? あー、まあ、職業柄、なんにでも裏を見出そうとするところはあるよな」 「え。……そう見えます?」  本当にそうなら、ある程度は仕方がないとしても、せめてセニス以外の前ではそう思われないようにしないと……。 「まあ、なくはない、程度だけどな」 「うーん。でも、気を付けます」 「ああ、あと」  なになに、まだ何かあるの。 「さっき、門から泣きながら出て行った女……、あれは多分、その貴族令嬢のうちの一人だよな」  ……ああ、なるほど。そのことね。 「そうですね。それは、恐らくそうだと思います」  公爵からディーン侯爵の花嫁探しのことを聞いたとき、真っ先にそのことに思い至ったものの、公爵にそれを伝えるかどうか、二人で一瞬目配せして、お互いに首を振って、その場では言及しないことになった。  彼らの問題を、私たちの勝手な推測だけで公爵に告げるのは、あまりいい結果にはならない気がしたからだ。 「何かあったんでしょうね……」 「だろうな」     
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