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彼女が泣いていた以上、あまりいい想像はできないけど……、まあ、他人の色恋沙汰に首を突っ込むことほど無駄なことは無い。
「まあ、私たちが今あれこれ考えても無駄でしょうね」
「だな。なるようにしかならないさ」
そうだ。私たちが今何を考えようとそれは結局想像の息を出ないし、彼らの行動にはなんら影響を与えない。
それにそもそも、私たちは彼らに何かを口出しできる立場にすらないのだ。
超希少特異体質の一つに他人の未来を見ることのできるものがあるというから、もしそんなものを持っていたとしたら、侯爵か貴族令嬢の未来を、興味本位で覗いてみるくらいはするかもしれないけれど。
(……いや、例え持ってたとしても、そんな無遠慮な行為は流石にできないか)
突拍子もない想像に自分で苦笑しつつ、私は立ち上がる。
「では、今日はこの辺で」
「ああ。さっさと寝て、さっさと帰ろう。明日が最終日だっていうなら、夕方くらいにはきっと、めんどくさいことになってるだろうからな」
「いや、縁起でもないこと言わないでくださいよ」
「冗談だって」
私たちは、館に戻って軽く体を拭き、それぞれの部屋に戻った。
あてがわれたのは天蓋付きのベッドで、物凄く恐縮しつつ、下着姿になり、用意されていたガウンを纏って、慎重に侵入する。
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