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巣窟の元帥
「元帥、よろしいでしょうか。」
タリーが元帥室の扉をノックする。
「ああ、いいぞ、入れ。」
低い声を聞き、タリーが扉を開け部屋の中へ。
「失礼します。」
部屋の奥に足を組み椅子に鎮座する帽子をかぶった男がいる。
深く被っているため、顔はよく見えない。
「・・・タリーか、どうしたんだ?」
「一件のご報告、そして、以前から開発部へ申請していた銃の試作品が完成したとのことです。」
「え!本当に?」
先ほどの低い声とは変わり、少年のような明るい声に変わる、椅子に座っていた男は銃が完成した、と言う言葉を聞いた瞬間男は椅子から飛びあがり、タリーの肩を持ち、帽子の中に隠れてい
た若い顔の目を輝かせた。
「はい、イストラームから直々に報告が、あと、私が「元帥らしくなるように」と、要求しましたが、ただ声の高さを下げる、帽子で顔を隠すなどの行為ではなく、元帥としての仕事を最大限行って頂きたいのです。」
「ありゃ、意味を踏み間違えてたね、ごめんごめん。
でも、最大限って限りないんだよ?あれやればこれやらなくちゃって感じで。
最低限やってるからいいでしょ、ね?」
顔の前で手を合わせ謝り、扉の方へ歩いていく。
「だから、常に気を抜くなと言っているのです。
・・・元帥、どちらへ。」
「ん?試作品を見に行くんだよ!だって僕専用だもん!早く試し撃ちしたいじゃん!」
「元帥、試射は報告を聞いてからに・・・」
「残念ながら、僕はもう銃のことしか頭にありませーん!報告は試射のあと!それじゃあ!」
元帥は勢いよく外へ出て行った。
「あ、元帥!
・・・またですか・・・、元帥の自由奔放さ、本当にあきれたものです・・・。
戦場での立ち振る舞いをここでも発揮していただければ、手間も減るんですが。」
そんなことをぼやきつつタリーは元帥のあとを追った。
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