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Oのことを聞くことはなかったが、よく話をしたのを覚えている。学はないかもしれないが、後藤は聡明だった。
世の中を恨んでいるような目は、Oのそばにいるほんのひと時、和らいでいた。それまでどんな人生を歩んできたのかは、分からない。南洋で生活と変わらないくらい悲惨なものだったのか、どうなのか。訊くことはできなかった。その前に死んでしまったのだから。
そしてニュージャージー出身の海兵隊員は、二十歳にもなってなかった。
彼は幸福なティーンエージャーとして育ったかもしれない。敵だったにも関わらず、走り書きでOのことを好きだといった。
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