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 しばらくすると、Oはまた安住を得た。  あの海兵隊員は若くて、軍の中で力なんてなかったはずなのに、理不尽さやきつい労働からOは免れ始めた。  とはいえ、Oの行いは公然と非難されないにしても、仲間内からからかいの的にはなっていた。便利なことに、気に病むような繊細さは持ち合わせていないのだが。  Oの要領のよさは、天才的だった。もちろん代償はついていたが、やめたいと思っているようではなかった。  証拠に、ある時Oがあの海兵隊員をかわいいと言っているのを聞いた。 「入隊前に恋人にフラれたんだ。そのせいでまだ童貞だったんだよ」 「フィリピンにいた隊なんだろ?嘘だ」
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