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Oのような性格の人間は、だいたい真っ先に死んでいく。
本当に簡単に人は死んでいった。敵に撃たれては死に、病気にかかり死に、思いもよらぬ事故で死に、飢えても死んだ。自分ら死ぬものもいる。死はありうるところに充満していた。
だが、Oは痩せていたが飢え死ぬほどでもない。
鮮やかな皮膚を持っていて、片手の指の三本しか持たないやくざものの後藤とつるんでいたために誰からも文句を言われなかった。ガラの悪い彼らは、弱いものを食いつぶしていく。
おっとりしているのは見た目だけで、頭の回転は速いのかもしれない。よく二人して後藤がばくちで巻き上げたイモや、どこからか手に入れた手榴弾で釣った魚を食べている姿を見かけた。
その意味を教えてくれたのは部下の一人で、特に驚いた様子も軽蔑した色もなかった。
ーーああ、あの二人ですか?Oは後藤の女なんです。
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