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コウタのところじゃ、すぐ母さんに連絡が行ってしまう。
他のチームメイトや、学校のクラスメイトの顔を思い浮かべては、頭を振った。
どうせ行くところなんて、ここしかなかった。
自分の不甲斐なさにうなだれながら、自転車をとめた。
でもばあちゃんは、ぼくの知らないうちに母さんに連絡する、なんてことは決してしない。
ぼくにとって、ばあちゃんの家は、母さんも予想できないほど何度も来ているところだった。
自転車の鍵をかけて、車庫から続く塀代わりのツツジの脇を歩いた。
こぢんまりとした数寄屋造の門がわずかに開いている。
その門の前に見慣れない三輪車が止まっている。
サドルの後ろの荷台には大きな木箱がくくりつけられている。
その中にはいろんなものが積み込まれているらしい。
布で覆われていて中身までは見えない。
客だろうか。
怪訝な顔をしながら木戸を引いて、玄関へと続く石畳の通路を歩く。
打ち水をしたらしい石畳は、夏のぎらついた日差しを反射して目にうるさい。
通路沿いに植えられた鮮やかなサルスベリとしとやかなフヨウも、今は盛りと競い合っているのが、今のぼくにはひどく陰気に見えた。
目に入らないように俯いて歩いて玄関にたどりつく。
なんとなく目の端に光ったものがあったような気がして脇を見た。
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