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2話 リアルシアター
僕は、ある映画館で立ち止まった。
「世界初、リアル館オープン?」初めて見たけど、リアル体験型の映画館らしい。
「何か面白そうだな」映画マニアの僕は、少し興味をそそられた。
今一番人気のハリウッド映画、" オールマイティー "
のチケットを購入した。
アクション、サスペンスにロマンス、それに笑いありと、全ての要素が詰まった大作だ。
座席は、人がまばらだった。僕は、一番後ろの席に座った。
映画が始まり、いきなりカーアクションが繰り広げられた。主人公はイケメンの若手俳優だ。
すると、座席がガタガタ揺れだした。
「うわっ、何だ?すげー!」僕は興奮した。
もう主人公気取りだ。すると主人公の車が横転して、投げ出された。
「うわー!」僕は後ろの壁に、投げ出されて激突していた。「え?どうなってんの?」体が痛い。
スクリーンを見ると、主人公の腕が擦りむいている。ふと見ると、自分の腕にも同じ傷ができていた。
「うそ?痛ててっ、マジかよ?」少し痛かったが、興奮した。僕はドMだったのか!
座席に座り直して、続きを見た。
すると主人公は、悪に捕らえられて、ベッドに縛られていた。と、突然、僕の座席の背もたれが倒れ、リクライニングのように横になった。
「うわっ何じゃ?」そして、手足がベルトで固定された。「えー?どう言う仕組みなんだ?」驚いてスクリーンを見ると、もっと驚いた。
悪が ( 痛みより、もっと恐ろしい物を見せてやろう )
と何かを取り出した。孫の手である。
ハリウッドにもあるの?
そして、四人がかりで主人公の体をこそばした。
「うひゃひゃひゃ!ひー!やめてくれぇ」僕は、何処からともなく出てくる孫の手で、大笑いした。
「ひーっ!死ぬー!」十分も続いた。
このシーン、そんなにいるか!
そしてシーンが変わって、脱出した主人公が、裏切り者を尾行している。そいつはバーに入った。
すると、雨が突然降り出してきた。
「冷てっ!」僕は上を見上げた。雨だ。
「嘘?そこまでやるの?」僕はずぶ濡れになった。
主人公はバーに入らず、外から様子を伺っている。
「おいおい、頼むからバーに入ってくれよ」
僕は主人公を、少し恨んだ。
そして、いよいよ大詰めだ!
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