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美女の救出劇が始まった。
禿げ上がっているが、頼りになる相棒と一緒に、悪と格闘だ。そして美女は、主人公に抱えられて出口へと走った。
すると、誰かが僕の腕を掴んだ。横を向くと、なんと黒髪の美女が座って僕を見つめていた。
「えー?あなた誰?でも可愛い」彼女は何も喋らない。これもリアル型のなせる技なのか?
この映画で、一番興奮した。
そしてクライマックスだ。
悪を倒して、美女と向き合う主人公。
行け!そこだ!キスをするんだ!
僕はそう願った。そして二人は駆け寄って行く。
ありがとう。
ハリウッドよありがとう!
僕は手の温もりを感じた。
すると主人公は、美女をすり抜けて、相棒と抱き合ったではないか!
はっ?どういう事?
隣を見ると、禿げ上がったおっさんが座っていた。
僕は、開いた口が塞がらなかった。
スクリーンで主人公が言った。
( いつも俺を支えてくれて、ありがとう。愛しているんだ )
相棒も応えた。( 俺もだよ )
そして二人は、なんと口づけを交わした。
何なんだ?この結末は?
すると隣のおっさんが、ぼくの頭を鷲掴みにして言った。「ラブ」
「や、やめろ!何でラブだけ英語何だ?あんた、どう見ても日本人だろが!」
僕は、暴れたがビクともしない。
おっさんの息がリアル過ぎる。
もしかして、オールマイティーってこの事か?
「やめろ!頼む、頼むから美女を呼んでくれー!」
館内に、僕の悲鳴が響き渡った。
終わり
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