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部屋に入ると、なんと先程の女性が立っていた。
「うわっ!」もうびっくりした。
「暗がりだったから、分かりにくかったのね。他にあるかしら?」とさっきの続きを聞いてきた。
マスクを外すと、やっぱりブスだった。
「はい、あのう、お肌がお綺麗です」と僕は顔を見ずに応えた。
「どんな風に?」と女性が聞いた。
「えーと、ツルツルっす」と適当に応えた。
「触ってないのに分かるの?」と展開が変わってきた。えー!そう来る?
仕方なく、頬を少しだけ触った。
でも、本当に肌はツルツルだった。
「触ったわね」と女性が睨んできた。
「えー!だって触って欲しい感じで、聞いてきたもんで…」とあたふたしていると
「喉が渇いたわ」と女性は急にソファに座った。
僕は慌てて、缶ビールを二つ用意した。
そして、二人向かい合いながら飲んでいると「つまみは無いの?」と催促して来た。
僕はチーズとアタリ目を差し出した。
そしてビールがなくなり、焼酎で乾杯していると
「ブスならブスって正直に言やあいいんだよ!なのにさ、ヒック!何なのよ!」と女性は荒れていた。
「もう、おっしゃる通りです」僕はお酌をしながら、女性の愚痴を聞いていた。
「あんた正直に言いなよ!わたし綺麗なの?」そう言って来たので、正直に「ブスです」と応えた。
「何を素直に言ってんのよ!それが女性に言う言葉?」とパンチを食らった。
えー?あんたが言ったんだろが!
「もう帰って下さいよ」僕は頼み込んだ。
「嫌よ!あんたが正直に言うまで帰んない」と駄々をこねている。
「さあ、わたし綺麗?」と最初の話に戻った。
「ブスです」またパンチが飛んで来た。
「いや、お綺麗ですよ」と言うと女性は「どこが?」とまた元に戻った。
もう勘弁して下さいよ!
しつこいよ、この口裂け女は!
いや、裂けてないか。
終わり
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