プロローグ「消えた日常」

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プロローグ「消えた日常」

「あーー、つっかれたぁ……」 大学から帰ってきて早々に荷物を部屋に放り投げて煙草を持ってベランダに行く。 「ふぅー……今日も一日頑張ったわ」 煙草を大きく肺に吸い込んで吐き出す。 「これ吸い終わったらレポート書かねぇとな」 四分の一減った煙草に目をやると煙が目に入った。 「いててて……?」 さっきまで聞こえていた誰かの話し声がパタリと消えた。 「!!どこだここ!」 目を押さえていた手を離して外を見るとそこには今までとは違った景色が広がっていた。 アパートの隣にあった高校は消えているし周りの家もすべて消えてあたりは一面の草原になっていた。 「ここは……」 しばらく呆然としていたが煙草をズボンにしまい急いで部屋に戻った。 「一応リュックも持ってくか……」 帰ってきたときに放り投げていたリュックを肩にかけて部屋を飛び出した。 「何もない……辺り一面草原だ」 何度か目を擦ってみても目の前の光景は変わらない。 (とにかく、ここから離れて人を探すにも一応食料とか持って行くべきか?) そう思い振り返ってみるとあったはずの自分の住んでいたアパートがなかった。 「んな……これからどうすりゃいいんだよ!」 前髪をかき上げてポケットから煙草を取り出す。 「チッ……いったいなんなんだ」 舌打ちを一つしてから煙草をくわえる。 (とにかくここにいても何も始まらねぇ……この場所を知りつつ元の場所に戻る方法も調べねぇと) 煙草に火をつけて大きく吸う。 「そうだ、スマホ!……現在地がわかれば帰り方もなんとかなるかもしれない」 ネットを開いて現在地を調べると出てきた場所に首をかしげる。 「コヨル草原……?日本、ではないよな」 現在地の画面を縮小してもう少し広範囲の地名を確認する。 「トラソル城下町が一番近い町だな……これも聞いたことねぇしそんな国名だって知らない」 (どこなんだここは……) 大きくため息をはいて俯く。 「とりあえず、城下町に行ってみるか……」 まだ少し残っていた煙草を道に捨てて踏んで火を消し草原を歩き出した。
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