天の橋

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夜にちらり、ほらり。 橋の(たもと)に天の川。 夢現に揺れて泡沫(うたかた)。 ふわり、ゆらりと夜露に紛れている。 深緑の季節に一夜限りの逢瀬を求め。 命の灯火を燃やして巡り逢う。 遠い昔の霊還り、源氏、平家の(うた)を詠むように。 橋の袂に天の川。 ちらり、ほらり、ゆらり闇に揺れて。 朝の姿と夜の姿を変えて幻想を紡ぎだす存在。 力強く、光を発して。 淡い緑の仄かな色を撒き散らす。 短き命を示してなお夜を彩る風物詩。 蛍袋に閉じ込めて流れる川を見詰めれば。 天の橋が広がる夜。 一夜限りの逢瀬を求め命を燃やすホタルたちよ。
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