赤毛の猫

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 探偵、という職業をご存知だろうか。  何を隠そう之を書き記している私自身が「探偵」であるのだが、私の生きた時代において、探偵というのは非常に肩身の狭く、其の仕事の半ばほどは、周囲から浴びせられる遠慮のない「白い眼」に晒されることだと云つても過言ではないものだ。  願わくは、私の書き記した之が処分されることなく後世に伝り、そして、「探偵」と云うものに関して多少なりとも娯楽的な、そう、「探偵」であることを選んだ人間の生様を、時に笑つて、時に涙するような、楽しみを以て見守ることの出来る人の目に入らんことを。
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