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「てめえ、何してんだよ邪魔すんな!」
デカゴリラは怯まず、怒声をあげると、
「ふむ。これはピエール&エミール・ジュモーのファッションドールか。制作年代は一八七〇年。骨董的には勿論、美術的価値も高い一品だ」
長身の美少年は陶磁器人形をしげしげと見つめて、そう言った。
「そして瞳は、やはりブルーのペーパーウェイトアイが使用されている。知ってるか? この美しくも精緻な模様をもった虹彩を現代において作る技術は、もはや失われてしまっているんだ。ということは――」
指を一本つきたてる。
「君は今、この世に遺された《貴重な美的永遠》を未来永劫、無きものにしようとしたわけだ。この罪は極めて大きいぞ。あえて誤解を恐れず人形者として言わせてもらえば万死に値する愚行に等しいといっても過言ではない」
「ああ? なに言ってんのか意味わかんねーんだよ。やるかコラ!」
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