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雛太は小柄で華奢で童顔だ。
幼い印象の私服を着ていると、中学生には勿論のこと、小学生に間違われたことすら数知れない。
さすがに変声期も第二次性徴も遅ればせながら迎えているが、声はいまだにアルトか、下手すればメゾソプラノの部類なものだから女の子に間違われることさえあった。
目はぱっちりとしていて大きい方だ。
顔のパーツも端正に整っていて、ウィーン少年合唱団の美少年風と親類に言われたこともある。
けれど、まるで子供然とした身長の低さと、怯えたような物腰が、その顔のよさを無効化してしまうのか、オスとして女性からモテた経験は生まれてこの方一度もない。
そのとき不意に思い出す。
そういえば幼児の頃は色んな人から、よくフランス人形みたいで可愛いねと言われたことがあったっけ。
相手に悪気が無いのはよく分かる。
とはいえ男の子らしくない、女の子みたいと言われている気がして、幼児の時分も雛太自身は嬉しくなかった。
「――はあ、誰かこの眼鏡、直してくんない?」
そんなことをつぶやいてみる。
けれど目の前の人形が返事をするはずもない。
もっとも視力はいいので、さほど困るわけではないけれど。
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