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「ほら、これ、半分。言っとくけど俺は本当にイチゴサンド好きじゃねぇから。おばちゃんの好意を無駄にしたくないだけだ。」
顔を背けながらぶっきらぼうにイチゴサンド半分を私に寄越す斎賀くん。
なんとなく例の中庭のベンチにやってきたけど…これ、中々緊張MAXな状況なんですけど。
「ありがとう…」
差し出されたイチゴサンドを遠慮がちに受け取り、もうこうなった以上、少しでも早く食べて立ち去ろうと一口かぶりつく。
「美味しいぃ……」
「美味っ…」
斎賀くんも一口食べたのか同時に声が出てしまった。
思わず斎賀くんを見るとーーー
めちゃくちゃ嬉しそうな顔をして食べていた。
そう、いつもここでこっそり食べてる時と同じあの幸せそうな顔をして。
うわぁ…間近で見ると破壊力が半端ないよ。
綺麗なアーモンド型した目はよく見ると薄茶色していて睫毛なんて私よりも長い気もする。
鼻筋もスッと通っていて…
やっぱり斎賀くんは格好いい。
こんな格好いい人とイチゴサンドを半分こして(購買部のおばちゃんが勧めただけ)二人きりで(きっと斎賀くんが私といるところを他の誰かに見られたくないだけ)食べているなんてみんなが知ったら……
死罪に値する。
いけない。調子に乗るところだった。早く食べて速やかに斎賀くんの視界から消えよう。
黙々と食べていると、
「あのさ、」
「はい?なにか?」
「あんパン好きなの?」
「えっ…?」
「いっつもあんパン食べてんじゃん。」
「ああ…えっと、それはーーー」
いやぁ、実は私が買う頃には残ってるのがあんパンだけでアンコ苦手なんですけど渋々食べてるんですよぉ!
とか明るく言えるエピソードじゃない。
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