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「そうか、自慢の父か。これからもそうしているといい。ぬらりひょんよ。何故その少女を拐ったのだ?」
閻魔大王はひかりには優しい笑みを見せていたものの、ぬらりひょんへ振り返ると目を吊り上げた。
「その少女は星姫なのです。白銀の髪と額の石が、その証拠でございます。ひかり殿は施設でいじめにあい、孤立していました。そこで……」
「おい待て!幸雪!どういう事だ!?信用してひかりをお前に預けてたんだぞ!」
赤兵衛は怒声でぬらりひょんを遮り、今にも殴りかかりそうな顔で幸雪を睨んだ。
「赤兵衛さん、本当にごめんなさい!私の監督不行届でした……」
幸雪は赤兵衛に深々と頭を下げる。
「幸雪、どういう事か聞かせてもらおうか?」
閻魔大王はなだめるような声で言う。
「こ、幸雪先生を、いじめないで、ください……。お父さんも……」
ひかりは震える声で訴える。
「ひかり、これはいじめてるんじゃなくてなあ、えぇと……だな……」
「ははは、ひかりは優しい娘だな。安心せい、いじめているのではなく、話を聞こうとしてるだけじゃ。赤兵衛もお前を大事に思っているからこそ、声を荒らげてしまったのだよ。そうだろう?赤兵衛よ」
困り果てた赤兵衛に助け舟を出したのは閻魔大王だ。赤兵衛は内心ホッとしながら、閻魔大王の言葉にうなずく。
「そう、なのですか?」
「ひかりも皆仲良しがよいじゃろう?ひかりが皆と仲良しになるための大事な話をしておるのだ」
「閻魔大王様の言う通りよ。だから先生は大丈夫」
幸雪はしゃがんでひかりの目線に合わせると、優しく微笑みながら言った。
「分かり、ました……」
ひかりはたどたどしく言うと、赤兵衛にしがみつき直した。
「して、ひかりが何故いじめられていたのだ?」
「ひかりちゃんが来た頃は、私の他にもうひとり教員がいました。その頃は皆ひかりちゃんと仲良く遊んでいたのですが、彼女が産休に入り、私ひとりになりました。ひかりちゃんが来てくれる施設はとても小さいですし、ある程度成長した子はわたしの代わりに、小さな子達の面倒を見てくれていました」
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