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「ほう、幼子達の面倒を見るとは大したものだ。面倒見をしていた子供達は、いじめについて知らなかったのか?」 「1度だけ、留守にするふりをした事がありました。あの子達はいじめを止めるどころか、一緒になってひかりちゃんをいじめていました……」 「もちろんすぐ止めに入ったんだろ?」 赤兵衛は怒鳴らないようにと呼吸を整えて聞いた。 「もちろん止めました。そしていじめは卑怯者がする事だと叱り飛ばしたのですが、それでも私がいない間はいじめてるみたいで、もう赤兵衛さんに相談するしかないと思った矢先に、ひかりちゃんが来なくなって……。そしたらいなくなったというじゃないですか……」 幸雪は悲しげに言ったかと思うと、ぬらりひょんを睨みつけた。 「私は、咲久を真似て心が弱ったひかり殿につけこんだのです。『誰にもいじめられない、皆の役に立てる場所がある』と言って……」 「どこまで腐ってやがんだ、このクソジジイ!」 咲久は素に戻り、ぬらりひょんの腹に回し蹴りを入れた。 「ぐふっ……!」 ぬらりひょんは体をくの字にして倒れる。 「咲久、それだけにしておけ」 恭は咲久の肩を強く握って止めに入る。 咲久は何か言いたげな顔をしたが、舌打ちをしてぬらりひょんから離れる。 「ぬらりひょんよ、ひかりを誘拐した後はどうしたのだ?」 「レトロ街と温泉街の間にある廃街へ連れていきました。そこに祭壇を作り神格化させ、星詠をさせたのです」 「幼子相手に酷な事を……。詳しい話は後で聞かせてもらうとしよう。夜叉、……いないのだったな。誰かぬらりひょん共を連行せよ!」 閻魔大王が声を張り上げると、どこからともなく使用人達が現れ、ぬらりひょんと黒子を連れて行く。
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