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「ひかりちゃん、楽しそうでしたね」 「あゝ、そうだな。さて、とりあえず屋台でも見るか?」 「はい」 ふたりは近くにある屋台から見て回る。 食べ物屋は歓迎してくれるが、金魚すくいや射的などの屋台の前へ通ると、嫌な顔をされた。 「なんであんな嫌そうな顔をして私達を見るんですかね?」 「私がまだ施設にいた頃、射的で商品を全部撃ち落とした。その時射的屋はひとつ落としたら弾をもうひとつくれるというやり方をしていたからな。この小銭1枚で3回できるのだが、私はこれだけで商品をかっさらった」 恭は大きめの小銭を見せながら言った。 「凄いですね……。金魚すくいはどうしたんですか?」 「あれは破れたら終わりだろう?破れる前にすべてすくった。咲久にねだられてやったのだが、咲久は私が取るとすぐに食べてしまった」 「え?金魚を、あの咲久さんがですか?」 信じ難い話に、瑠璃は恭を見つめる。 「後で咲久に話してやれ。慌てふためくに違いない」 恭は意地悪く笑った。 屋台を半分近く回ると、瑠璃は少し疲れてしまった。 「瑠璃、少しここを離れるか」 「はい」 夜風に当たりたかった瑠璃には、嬉しい提案だった。 恭に着いて歩くが、会場からだいぶ離れた所まで来た。 「あの、恭さん。会場から結構離れてませんか?」 「そうだな」 恭は短く答え、止まろうとしない。 「どこに行くんですか?」 「もう少しだ」 どうやら目的地すら教えてくれないらしい。 更に少し進むと、開けた場所に出た。そこには数多の鳥居が連なり、置くからお囃子が聞こえてくる。 「これって……」 「すまない、瑠璃。私は今まで嘘をついていた」 恭は申し訳なさそうな顔をして言う。
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