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「父さんも明後日からは会社だ」
「お父さんも新しいお友達出来るといいね」
「ははは……、頑張るよ」
父は乾いた笑い声を出し、貼り付いたような笑みで言った。
家族団欒を楽しんでいると料理が運ばれてきた。
「いただきまーす」
一家は手を合わせると、食事を始める。
少し早めの夕食が終わると、ファミレスを後にしてスーパーに来た。
「瑠璃、買い物行こう。……あら?」
返事がないので後部座席を見ると、瑠璃は丸くなって寝ていた。
「静かだと思ったら……」
「きっと長旅や片付けで疲れたんだろう。どうする? 一緒に買い物行こうか? それとも瑠璃をみてる?」
「ひとりにしちゃ可哀想よ、私ひとりで行ってくるから瑠璃をお願いね」
「わかった」
母はダッシュボードに入れていたエコバッグを取ると、買い物をしに行った。
母が買い物に行って数分後、瑠璃は寝ぼけまなこを擦りながら体を起こす。
「あれぇ? お母さんは?」
「お、起きたか」
窓を開けて煙草を吸っている父が振り返る。
「お母さんどこ?」
「買い物してるよ。一緒に行く?」
父はスーパーを指さして言う。
「ううん。ね、この町に妖怪いるかな?」
「きっといるさ。妖怪は見えないだけで、案外どこにでもいるだろうからね」
「お父さんは見た事あるの!?」
瑠璃は期待に満ちた目で父を見つめる。
「うーん、どうだろう? ちゃんと認識してないだけで実は会ってるかもしれないよ? 前に住んでた町に、こわーいおばあさんがいたろ? 実は妖怪かもしれないし」
「お父さんの言ってること、難しくてわかんない」
「ははは、説明が下手でごめんよ」
「ただいまー、ここ色々安くて助かるわ。あら、瑠璃起きたのね」
父が困っていると、母が戻ってきた。
「おかえり、お母さん。よーし、明日も大変だし早く帰るかー」
父は後半を棒読みで言うと、車を走らせた。母はそんな父を見て首を傾げる。
家に帰ると瑠璃は風呂に入って寝た。
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