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たっくさんおせわした。ごはんを作って、おそうじをして、体をたくさんさすって……ほとんどお父さんが手伝ってくれたけれど、私にできることはぜ~んぶやった。鳥さんもね、どんどんげんきになってくれたの。ピーって声がどんどん大きくなるんだもん。
鳥さんはとべるようになった。パタパタって羽の音がきこえる。
「お父さん、鳥さん飛んでる?」
「ああ、飛んでるよ」
私のまわりで鳥さんの音がする。とんでる音がする。手を上にあげると、鳥さんの足がとまった。やっぱり、げんきになってる。
うれしかった。けどかなしかった。だって、もうすぐおわかれだもん。とべるようになったらかえしてあげる。そうお父さんとおやくそくしたんだもん。
おわかれするときがきた。鳥さんと会ったこうえんにきた。目が見えているときにはなんどもなんどもきたこうえん。たっくさん木があって、おっきな川があって……そこに鳥さんをつれてきた。
「バイバイ……」
鳥さんをにがしてあげる。鳥さんはなかなか私の手からうごかなかったけれど、ピィって声をあげた。手から鳥さんの足がはなれた。パタパタって音がする。だんだんと小さくなっていく。でもそれはきゅうにきこえなくなって、ボチャンって音がした。
「お父さん、鳥さんは?」
お父さん? どうしたの? なんでなにも言ってくれないの?
なんかいかたずねると、お父さんは私の手をつかんだ。
「大丈夫だよ。鳥さん、飛んで行ったよ」
お父さんの声はどこかへんだった。私の手をぎゅってしてくれる。
「……そっか、良かった」
私は手をふる。鳥さんがとんで行ったばしょにむかって。
「鳥さん……さようなら……」
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