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一度目は後ろから、二度目は腿に乗せてハルカを責めながら、果てる。
絶頂感に半狂乱になりながらも一度も放つことができなかったハルカは、最後、ハルトの口の中で果てた。
薄い膜の中で弾けたハルカの精液を、妄想の中でごくりと飲み干す。
はあ、はあ、はあ。
ぐったりと横たわった彼の、シーツに広がった美しい黒髪をじっと見つめる。
ハルトには気に入りのカフェがある。
地下道から上がって横断歩道を渡った先の、アンティークな趣の小さなカフェだ。
入口の横に、テイクアウト用の小さな窓があり、そこで砂糖なしのカフェラテを買ってから事務所に向かうのが密かな楽しみだった。
「ハルトくん、あのね」
いや。確かにカフェラテはうまい。ただ、元々大して拘りのあるわけでもない自分が、一杯で缶コーヒーなら三~四本買えてしまうカフェのコーヒーを毎日のように買うのは、味が理由ではない。
「あのね、ずっと、好きでした」
小さな窓の向こうで、そう、こんなふうにふわりと微笑む彼に、密かな想いを寄せていた。抱きたいとか抱かれたいとかいうより、窓の向こうの彼をずっと見ていたかった。時々、一言二言、他愛ない言葉を交わせるだけでよかった。
「ハルカさん、あの、俺」
「今日はありがとう。一生の思い出になりました」
ハルカの手のひらが、近づこうとしたハルトの胸を押し返す。
熱っぽさの冷めない赤い頬を両手で覆って、下手な演技なんて続くわけもなく、ぽろりと片目から涙をこぼすから。
思わず抱き寄せて、抱きしめる。
ハルカは肩を震わせて、ほんの数秒むせび泣き、顔を上げた。
おずおずと唇を近づけると、嫌がることなく応えてくれる。
長い口付けを終えると、ハルカは恥ずかしそうに、唾液に濡れて光る唇を手の甲で擦った。
「ハルカさん、あの――また指名してください」
上目遣いにハルトを見て、ふふっと笑って。彼は頷かなかった。
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