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第三話「新人モデル」
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夏の容赦ない陽射しがベランダのアスファルトをギラギラと照らし、反射熱で足元から焦げそうな七月。
花衣は乾いたばかりのシーツを取り込みながら、「あつ……」と無意識に呟いた。
洗濯物が短時間で乾くようになったのはいいが、こう暑いと空調が行き届いたこの部屋でも、自然と汗が滲み出る。
かつて汚部屋と呼ぶレベルに散らかっていた一砥の部屋は、花衣の日々の努力の甲斐あって、その高級な外観と内装に相応しい状態を保たれていた。
花衣が家政婦のバイトを始めて一ヶ月が過ぎた。
毎朝九時に出社する一砥と入れ替わりに、花衣はマンションに行く。
顔見知りになったフロントのコンシェルジュスタッフに挨拶し、エレベーターで十四階まで上がる。
部屋に入るとまず、前日の脱ぎ捨てられた衣装類を拾い、靴下や下着、タオル等は洗濯し、スーツとワイシャツはクリーニング用の袋に入れる。
テーブルに放置された食器を片づけ、寝室へ行ってシーツと枕カバーも洗う。
リビングに放置されたDMをシュレッダーにかけ、古い雑誌や新聞はマンション一階のゴミ置き場へ運ぶ。
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