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「お前は駐禁を注意された後、そこに留まらず警察から逃げたことになる。罰金とキップ切りだけじゃ済まなくなるんじゃないか、って話だよ。駐禁ぐらいで、使用者責任取らされて、お前んとこの親分に御足労願うなんてことは、お前も親分も望んじゃいないだろ?」 「クソ!足元見やがって!デコ助辞めようがカタギになろうが、やっぱりクソはクソだな!」 「その自覚はある。ロクな辞め方をしてねえしな。だが俺は昔から目こぼしってやつも得意なのは知ってるだろ。最初の質問に戻るが、旦那に雇われてるのか?それだけ教えてくれりゃいい」 「俺は知らん。これは本当だ。この邸を見張ってろとオヤジに言われた。それだけだ」 「本当か?いつからだ?」 「今日からだ。俺はこの家の人間のことは丸っきり知らん。IT企業の社長だか何だか知らんが、俺らの稼業とはまるで関係ないんでな」 「嘘をつけ。お前らの今時のシノギは株やら何やらだろ。企業舎弟みたいなIT関連の連中に株取引を任せて、シノギにしてるんじゃないのか?」 「知らんね。俺はオヤジのガキの使いでここでたむろしてるだけだ」 「てことはおたくの親分が直々に頼まれて、あんたのような大物を見張りを出したってことだな。この家の人間とは随分ご昵懇の仲のようだな」 「俺は大物でも何でもない。チンピラに毛が生えたようなもんだ」 「だが親分はあんたを信頼してる。だからお友達の見張りをあんたに頼んでるんだろ」 「…オヤジとは長いからな。ガキの頃からだ」     
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