3

4/4
前へ
/102ページ
次へ
「お前は懲役にも行ったな、組のために」 「捕まえやがったのはあんただ」 「捕まえたわけじゃない。お前が殊勝な顔して自首してきただけだ」 「そうだった。昔の話だ」 喜多川は、これ以上話しそうにないなと思った。 こいつは自分の親分に関する秘密事項は、自身が殺されたって吐かない野郎だ。 かって喜多川が、組の抗争のケツ拭きに自首してきた後の取り調べの時に、そいつがよくわかった。 だが旦那に雇われているなら、その旦那を22口径で撃った静華が、報復される可能性がある。 そうなると、静華のボディガードまで俺がやる羽目になるが…。 やれやれ、とんだ面倒に首を突っ込んだもんだ。 シングルのズートスーツの内ポケットに入れてある、アイバー・ジョンソンM1900を確認した。 サタデーナイトスペシャルとも呼ばれる180mmの小型拳銃だ。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加