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「お前は懲役にも行ったな、組のために」
「捕まえやがったのはあんただ」
「捕まえたわけじゃない。お前が殊勝な顔して自首してきただけだ」
「そうだった。昔の話だ」
喜多川は、これ以上話しそうにないなと思った。
こいつは自分の親分に関する秘密事項は、自身が殺されたって吐かない野郎だ。
かって喜多川が、組の抗争のケツ拭きに自首してきた後の取り調べの時に、そいつがよくわかった。
だが旦那に雇われているなら、その旦那を22口径で撃った静華が、報復される可能性がある。
そうなると、静華のボディガードまで俺がやる羽目になるが…。
やれやれ、とんだ面倒に首を突っ込んだもんだ。
シングルのズートスーツの内ポケットに入れてある、アイバー・ジョンソンM1900を確認した。
サタデーナイトスペシャルとも呼ばれる180mmの小型拳銃だ。
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